おいしいを感じる言葉
Sizzle Word 2023

おいしいモノを食べた時、おいしさをどう感覚し、
どういう言葉にして知覚し、記憶しているのでしょうか。
いま、どのようなおいしさを表現する言葉が
使われているのでしょうか。

「おいしそう」「食べたい」「飲みたい」という欲求を
喚起する言葉、おいしかった感覚を覚えておく言葉、
おいしい感覚を表現する言葉を
“シズルワード”と 呼んできました。

“シズルワード”には、「もちもち」「ジューシー」
「とろける」「濃厚」「うま味のある」「贅沢な」
「揚げたて」「焼きたて」など、 数多くの言葉があります。

2003年から継続的に調査を行ってきました。
シズルワードの現在の姿とその変化を知っていただくために、
『 おいしいを感じる言葉 SIZZLE WORD 2023 』
の調査結果の一部をご紹介します。

シズルワードの4つの表現

“シズルワード”には
食に関わる修飾語で、単語や簡単な字句のことです。
「もちもち」「ジューシー」「とろける」「濃厚」
「うま味のある」「贅沢な」「揚げたて」など、
数多くの言葉があります。

シズルワードは大きく4つの領域にわけています。

  • 味覚系:味覚・嗅覚に関わるワード
  • 食感系:触覚・聴覚に関わるワード
  • 情報系:食材・調理・製法・流儀に関わるワード
  • 感情系:情緒・気分・エモーションに関わるワード

味覚系、食感系、情報系の3領域で2003年から調査してきました。そして、2020年から感情系を加えた4領域で行っています。

4領域のランキング

味覚系

「濃厚な」「うま味のある」「こくうま」
が味覚系のトップ3

“味覚系”の1位は「濃厚な」、次いで2位「うま味のある」、3位「こくうま」が続きます。

4位は「やみつきになる」、11位の「クセになる」も同じ、
感覚により脳によって欲求がつくられている言葉です。

5位~7位は、「コク深い」「極うま」「コクがある」です。

8位9位は「味わい深い」「深みのある」です。
5位の「コク深い」を含めて、”深い“を使った表現が並びます。

12位13位は「風味豊かな」「香ばしい」、
嗅覚の“香り” “匂い”が関係する言葉です。

味覚系シズルワード トップ20

食感系

1位は「ジューシー」、
2位3位は「もちもち」「サクサク」

1位は「ジューシー」です。
「ジューシー」は肉汁が溢れるなど、
汁や液体の動きを楽しむ感覚、食感の1位です。

2位は「もちもち」、同じ“もち”の「もっちり」は4位、もち系の擬態語です。

3位は「サクサク」、8位に「サクッと」があります。
サク系の擬音語です。

5位は「とろける」、“とろ”が付いた擬態語には、
6位「ふわとろ」、10位「とろーり」、
14位「とろとろ」があります。

オノマトペは感覚をそのまま言葉にしたもので、

擬音語と擬態語にわけられます。
擬態語で、トップ20には、上記の
“もち” “とろ” “ふわ”に関わる言葉など7語あります。
一方、音で感じる擬音語では、“サク”の他に、
「カリッと」「カリカリ」の“カリ”、
「パリパリ」「パリッと」の”パリ“で6語になります。

オノマトペ以外では、“口”に関わる言葉「口どけのよい」、
“口”に関わる言葉がトップ20に入っています。
「歯ざわりがよい」「噛みごたえがある」などの
“歯”や“噛”を使った言葉は40位台、
“口”に比べてずっと下位です。

食感系シズルワード トップ20

情報系

「贅沢な」「絶品」
「揚げたて」「焼きたて」、がトップ4

素材・製法・流儀など、
食材や調理・加工に関わる言葉が“情報系”です。

1位2位は「贅沢な」と「絶品」です。

3位4位は、作りたて・調理したてを意味する
「揚げたて」「焼きたて」です。同じ“たて” 系には、10位に「炊きたて」、16位に「出来立て」があります。

素材の鮮度を表す「新鮮な」は7位、
「フレッシュな」13位、「とれたて」15位、
「旬」19位があります。

鮮度とは対照的な「完熟の」は12位です。

情報系シズルワード トップ20

感情系

「幸せの」、「元気が出る」、「気分があがる」
がトップ3

感覚ではなく感情。おいしいを食べることでえられる情緒や気分です。
おいしいは「快」、まずいは「不快」。おいしい飲食は「快」を通じて、
気持ち、気分や情緒を動かします。

1位は「幸せ」です。
おいしい感覚をそのまま感情にすると「幸せ」、4位の「満ち足りた」、7位「心地よい」も大きく分けると同じような「幸せ」系の感情です。

2位「元気が出る」は「快」によってインスパイアされる感情、3位「気分があがる」6位「気分が高まる」もアップ感情といえます。

インスパイアの反対は鎮めること、5位「癒される」、それに11位12位「ほっとする」「ほっこり」も鎮め系といえます。

感情の切り替え、「リフレッシュする」は9位で、
「リラックスする」は10位です。

感情系シズルワード トップ20

3領域の時系列変化

調査は、2003年から行ってきましたが、
ここでは2013年から2023年までの
10年間の変化を5年間隔の
トップ20のランキングの変化でみます。

味覚系の変化

コクが複合化、「こくうま」「コク深い」がアップ、
「コクがある」はダウン。

2018年、2023年の味覚系のトップ2、
1位「濃厚な」、2位「うま味のある」は変わりません。

順位アップが著しいのは、3位「こくうま」5位「コク深い」、
どちらも大きく順位アップしています。
その分、順位ダウンしたのが「コクのある」です。
「コクのある」が、“コク“の複合語である
「こくうま」「コク深い」に代替されていると言えます。

「味わい深い」もアップ、
「コク深い」と並んで“深い”はアップトレンドのようです。

「濃密」が大きくアップ。
2018年にトップになった「濃厚な」はピークを維持、
“濃”をもつ「濃密」が下位からのアップをしてきました。

2018年に比べ「やみつきになる」「クセになる」の
〈やみ・クセ〉も大きく順位アップしています。
ただ、〈やみ・クセ〉は10年前、2013年は比較的高く、
10年サイクルでアップダウンするトレンドがあるように思われます。

2013年には3位4位の「香ばしい」「フルーティ」はダウン、
2023年は13位と17位です。

味覚系のランキングの変化:2013~2023年

食感系の変化

「こんがり」がアップ
「ふわとろ」はピークアウト
「コシのある」は復活しアップトレンドに

2013年、2018年、2023年の食感系の1位と2位は、
「ジューシー」「もちもち」のどちらか、
2つの言葉は食感系のトップを争っています。

3位以下で、大きな動きがあります。
2023年3位にあがってきたのは「サクサク」、
8位になった「サクッと」も8位に順位アップです。

「サクサク」「サクッと」と同じ擬音語の
「カリッと」「カリカリ」は13位と18位にアップ、
また「パリパリ」「パリッと」もアップ15位と17位です。
「サク」「カリ」「パリ」は、いずれも擬音語、
噛んだ時の軽快な食感を表すオノマトペです。

擬音語がアップするなかで、
「ふっくら」「ふわふわ」「ふんわり」の
「ふわ」系は2018年をピークにダウン。
軽くてやわらかい感覚をあらわす擬態語がダウン傾向です。

また、オノマトペではない古くからの表現、
「口当りのよい」がダウン傾向です。

食感系のランキングの変化:2013~2023年

情報系の変化

「贅沢な」がトップ
「揚げたて」「焼きたて」がダウン
「本格的」「本場」がアップ

情報系の1位「贅沢な」は、大きく順位アップしてきました。
10年前の2013年は11位、5年前の2018年は3位になり、
今年は1位です。

2015年に1位2位だった「揚げたて」「焼きたて」は
2023年には、3位4位でダウンです。
「炊きたて」もダウン、“調理したて“はダウン傾向です。

「贅沢な」の他に、トップ20で順位アップしたのは
「本格的」「本場の」です。
共通する”本“に価値がありそうです。

10年前、2013年の1位は「季節限定」でしたが、
今年は8位にダウンです。
「季節限定」と同じように、
「産地直送」「産地限定」など“産地”ダウンしてます。

アップする“本”と“ダウンする”産地“、産地という普通名詞は、

「本場の」やそれぞれの本当の産地、

固有名詞の地名に置き換わっていると考えることもできます。

情報系のランキングの変化:2013~2023年

調査概要

調査方法 インターネット調査
対象者 15~69歳男女
調査期間 2023年5月12日(金)~5月18日(木)
サンプル数 1,800人
調査地域 全国
調査に使用した
食べ物に関する表現
432語
味覚系表現104語、食感系表現121語、情報系表現122語、感情系表現85語

報告書目次

商品仕様

報告書 1冊(145頁)
データCD 1枚

<データCD内容>
報告書PDF
クロス集計表(エクセル)
時系列データ(エクセル)
価格 165,000円(消費税込)

Sizzle Word
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