おいしい都道府県
Region Brand of Food
はじめに
食材・料理の価値表現としての地域
都道府県の食のブランド性
スーパーやコンビニで陳列された食品、レストランの料理など、食べ物に出会った時、地域を意識することが多くなりました。
いま、消費者にとって、地域は食材や料理を選ぶ時の大切な手がかり、“ブランド”となっています。
お米、果物、野菜、肉・乳製品、水産物、ワイン、日本酒などの食材・料理に対する消費者の「おいしい」意識から地域を見渡します。
生産や出荷の量、金額の実際ではなく、消費者の意識ではどの地域に「おいしい」という価値を感じているのでしょうか。
地域は海外の国から市町村まで、さまざまに捉えられ、無数にありますが、ここでは主に都道府県というレベルで捉えていきます。
それぞれの食材・料理について、消費者が「おいしい」「食べたい」を感じる地域は都道府県でいうとどこなのか、消費者調査を行いました。
ここではその一部をご紹介します。
食べ物全般 〈料理・食材〉について
〈料理・食材〉がおいしい都道府県
1位北海道、2位福岡県、3位大阪府
次いで4、5、7位は新潟県、石川県、富山県
北越の3県は、10位東京都より上位
食べ物全般の〈料理・食材〉がおいしい都道府県として、圧倒的多数が選んだのは北海道です。全国の7割の人が北海道を選んでいます。
1位北海道に次いで、2位は福岡県、3位は大阪府です。
4位から7位は、新潟県、石川県、京都府、富山県が続きます。
上位の都道府県を料理か食材かにわけると、福岡県や大阪府、それと京都府は料理のおいしさ。北海道、新潟県、石川県、富山県は食材のおいしさになるのでしょう。
食材のおいしさの新潟県、石川県、富山県は日本海側で隣り合っています。この3県がおいしい都道府県の上位に入っていることは注目されます。
北の北海道の1位に対して、南の沖縄県は9位。九州地方は福岡県と長崎県の2県、関西地方は大阪府と京都府の2府がトップ10入りしています。一方、関東は10位の東京都だけです。
東海、中国、東北はトップ10にはなく、11位から14位で、静岡県、広島県、青森県、宮城県が続きます。
〈料理・食材〉がおいしい都道府県
〈料理・食材〉がおいしい都道府県
地元の評価が高いのは、
高知県、大分県、山形県、岩手県、秋田県
〈料理・食材〉がおいしい都道府県に、自分の居住地を選んだのは47都道府県平均で33.8%です。
居住都道府県の選択でも1位は北海道、2位は福岡県です。
3位石川県、6位新潟県、8位富山県は、全国の人に選ばれていましたが、住んでいる人にも選ばれています。
全国の人からはそれほど選ばれていませんでしたが、地元の人は〈料理・食材〉がおいしいと評価している都道府県は、 4位高知県、5位山形県、7位大分県、 9位10位の岩手県と秋田県です。
居住都道府県の
〈料理・食材〉がおいしい トップ20
〈料理・食材〉がおいしい都道府県
全国と居住都道府県の選好
主な食材について
〈お米〉〈果物〉〈野菜〉〈肉・乳製品〉〈魚貝・水産物〉
〈お米〉がおいしい都道府県
1位新潟県、2位秋田県、4位山形県、5位宮城県
東北各県が上位を占めるなか、北海道が3位
〈お米〉がおいしいのは圧倒的に新潟県。全国の過半数の人が新潟県を選んでいます。
1位新潟県に次いで、2位は秋田県、3位北海道、4位山形県、5位宮城県です。北海道を除く3県は東北地方です。6位は北陸の富山県、7位岩手県、8位福島県と再び東北地方の県になります。
〈お米〉がおいしい新潟県は、自由回答をみると、「新潟」という地名だけでなく、「魚沼」「南魚沼」も重要な“地名ブランド”です。
〈お米〉がおいしい都道府県 トップ10
〈肉・乳製品〉がおいしい都道府県
1位北海道は乳製品
2位三重県、3位兵庫県は牛肉
4位鹿児島は豚肉、5位宮崎は鶏肉で
〈肉・乳製品〉がおいしいのは圧倒的に北海道。全国の6割の人が北海道をあげています。
1位北海道に次いで、2位は三重県、3位は兵庫県、4位鹿児島県、5位宮崎県です。
1位北海道をつくりだした〈肉・乳製品〉 は、〈牛乳〉〈ヨーグルト〉〈チーズ〉の乳製品。ランキングではいずれも北海道がトップになっています。
2位三重県、3位兵庫県は〈牛肉〉がつくりだしています。 〈牛肉〉のランキングでは1位三重県、2位兵庫県です。
4位鹿児島は〈豚肉〉、5位宮崎は〈鶏肉〉によるものです。
〈肉・乳製品〉がおいしい都道府県 トップ10
〈魚貝・水産物〉がおいしい都道府県
1位は北海道 カニ、エビ、いか、ほたて
2位は石川県、3位は富山県はぶり
4位青森は、まぐろとほたて
〈魚貝・水産物〉がおいしいのは圧倒的に北海道。全国の半数以上が北海道をあげています。
1位北海道をつくりだした〈魚貝・水産物〉 は 〈カニ〉〈エビ〉〈いか〉〈ほたて〉、いずれもランキングでは北海道がトップです。
1位北海道に次いで、石川県、富山県、青森県が続きます。
4位の青森県は〈まぐろ〉や〈ほたて〉のランキングが上位です。
5位は宮城県、6位は静岡県。7位は福井県、8位高知県です。
宮城県は〈かき〉、静岡県は〈魚の干物〉、福井県は〈カニ〉、高知県は〈かつお〉でランキングの上位を占めています。
〈魚貝・水産物〉がおいしい都道府県 トップ10
アルコール飲料について
〈ワイン〉〈ビール〉〈日本酒〉〈焼酎・泡盛〉〈梅酒〉
ここでは、アルコール飲料の〈日本酒〉の一部を紹介します。
〈日本酒〉がおいしい都道府県
1位は新潟県、2位は秋田県
3位の兵庫県、関西圏では1位
日本酒がおいしい都道府県は、圧倒的に新潟県、全国の半数の人が新潟県を選んでいます。
2位は秋田県で、3位は兵庫県、4位山形県、5位京都府。
首都圏では、新潟県が6割近くになり、圧倒的です。
関西圏では兵庫県が1位、2位は新潟県、3位が京都府。
「灘」「伏見」という地名は日本酒の変わらないブランドです。
〈日本酒〉がおいしい都道府県 トップ10
〈日本酒〉がおいしい都道府県 トップ5
首都圏/関西圏別
この調査では、〈料理・食材〉という食べ物全般から、〈果物〉〈野菜〉〈肉類・乳製品〉〈魚貝・水産物〉などの食材分類、〈ぶどう〉〈なす〉〈牛肉〉〈魚の干物〉〈日本酒〉など具体的な食材・食品まで、54のカテゴリー・アイテムについいて「おいしい」と感じる都道府県を明らかにしています。
詳しくは、調査対象食品・食材をご覧ください。
食べ物と地域ブランドについて
「この食べ物なら、どこがおいしい」というと食べ物のおいしさと地域の結びつきが、消費者の意識の中では強くなっています。食べ物は地域がブランドをつくる、という問題意識から調査を行いました。
生産や販売の数量や金額の実際ではなく、消費者の意識ではどの地域に「おいしい」という価値を感じているかを数値化しました。
分析は主に都道府県を地域区分の単位として行いましたが、地域は海外の国から市町村まで、さまざまなレベルで捉えられます。
〈お米〉の新潟県は「新潟」だけでなく、「魚沼」「南魚沼」という地名がブランドになっています。
「北海道」が〈料理・食材〉の総合で1位の都道府県になったのは、「北海道」という地域だけでなく、県庁所在地の「札幌」、それぞれの食材の産地として知れれている「十勝」「帯広」「函館」「小樽」「釧路」「富良野」「旭川」などの支庁や市町村が存在しているからです。
都道府県以外の地域の名称や地名がブランドをつくる地域として重要です。今回の調査では、対象者に自由に地名を記入してもらっているので、報告書では、回答状況から都道府県を含めた地域の多様性を知ることができます。
調査概要
調査方法 | インターネット調査 |
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対象者条件 | 20~69歳男女 |
対象者数 | 2,560人 |
調査期間 | 2019年11月20日~12月3日 |
地域 | 全国 47都道府県 |
対象者の割り付けと集計上のウエイト
対象者は20-69歳男女を性別年齢で割り付け。
集計は、『国勢調査(2015年)』にもとづいて、ウエイト付けし、報告書のサンプル構成は、全国の人口構成と同じにした。