理念
いま、経済、社会、生活の変化は加速しています。それはインフォメーション・テクノロジーに代表される技術の著しい進歩に支えられた、情報やモノの流通と交通の革新が大きな要因です。
こうした革新の動因は意識や欲求です。人間社会が自覚し始めた自然環境への意識、これまでのさまざまな境や際を超えた新しいコミュニケーションと新たな関係への欲求、世界の中で自らの位置を明らかにしたいというアイデンティティの探索などが変化の動因になっています。
その深層にあるのは、これまでの枠組みや括りにとらわれない新たな関係やつながりということができます。未来と郷愁、都会と田舎、家族と国家、近隣とグローバル、自然と人間、仕事と余暇、擬似と現実、バーチャルとアウラ、生産者と消費者、送り手と受け手など、すべての対比的な概念の狭間を見つめたいと思います。できれば対比を超える新たな意味や価値を探し出し、私たちの生活を再設計し、同時に産業のメカニズムの再構築できたら、と考えています。
とはいえ、まずは生活の実際です。生活の細部を様々な角度から捉え、生活の細部に宿る価値や意味を知ることから始めます。こうした茫洋とした問題意識をもって、具体的なひとつひとつの現実の商品やサービス、あるいは一人一人の生活に向き合っていきたいと思っています。
無数のファクトという断片を、ちょうど1000ピースのジグソーパズルのゲームに向かうような気持ちで組み合わせ、全体の像を見通すための地図を作成したいと思います。そのうえで、地図の上にあるファクトがもつ価値や意味を読み込み、地図の上に進むべき方向の矢印を記入したい、それが仕事での願いです。